優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!其の四

優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!其の四

どうもー!やーさん(@ohokamudumi)です。

現代ではTwitterの140字の中でうまいこと言った人が人気を集めるわけですが、

古来より5・7・5・7・7の31文字で人の想いや儚さ、四季の移ろいなどを見事に表現しているのが和歌です。

数々の歌が千年以上経った現在でも人々の胸を打ち続けている。これってすごいことじゃないですか!?

ということで、最も有名な和歌集である小倉百人一首に収められている歌を改めて鑑賞してみたいと思います。

今回は31-40番!!いってみましょう!

 

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優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!

 

31、朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪 

あさぼらけ ありあけのつきと みるまでに よしののさとに ふれるしらゆき

 

坂上是則

明け方、空がほのかに明るくなってくるころに見渡してみると、有明の月が照らしているのかと見えるほどに、吉野の里には白雪が降っている。

 

やーさん

吉野の里で明け方に見た雪景色を率直に詠んだ歌ですね。凛とした冬の寒さ、ほのかな明るさに包まれた白い世界などが脳裏に浮かぶ歌です。

 

坂上是則は征夷大将軍・坂上田村麿の4代目の孫と言われています。三十六歌仙の一人です。

月の白い光を、雪や霜に見立てるのは漢詩でよく使われた比喩です。

 

 

32、山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり

やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり

 

春道列樹

山の中を流れる川に風が架け渡した柵(しがらみ)がある。それは流れようとして流れきれずにいる紅葉の集まりでした。

 

やーさん

作者が都から比叡山と如意岳の間を通って近江へ行く途中で詠んだ歌です。秋の美しい山と川、風に舞う紅葉、水面に浮かぶ紅葉の集まり、鮮明な情景が目に浮かぶ美しい歌ですね。

 

春道列樹(はるみちのつらき)は物部氏の末流と言われています。

「風のかけたる」は風を擬人化しています。擬人法は当時最新のテクニックとしてもてはやされました。

 

 

33、ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 

ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しづこころなく はなのちるらむ

 

紀友則

日の光がのどかに照っている春の日なのに、なぜ桜の花は落ち着かなげに散ってしまうのだろうか。

 

やーさん

穏やかな春の日差しの中、散っていく桜の儚くも美しい様子を詠んだ名歌です。桜は咲いているときよりも散り際こそ美しく、人の心を動かす。そんな情景を見事に切り取っていますね。

 

紀友則は紀貫之の従兄弟で、三十六歌仙の一人です。また古今和歌集に撰者の一人でもあります。

「ひさかたの」は日・月・空にかかる枕詞です。

 

 

34、誰をかも 知る人にせむ 高砂の 松も昔の 友ならなくに

たれをかも しるひとにせむ たかさごの まつもむかしの ともならなくに

 

藤原興風

いったい誰を親しい友人にしようか。(長寿で有名な)高砂の松でさえ、昔からの友人ではないのに。

 

やーさん

年齢を重ね、老いていくごとに親しくしていた友人を亡くしていってしまう寂しさを詠んだ歌です。松は人ではないので、友たりえないというというところが作者の孤独感をより一層感じさせます。

 

藤原興風は藤原道成の子で、三十六歌仙の一人です。勅撰和歌集に38首も入集しています。

高砂は現在の兵庫県高砂市南部を指し、白い砂浜と青松が美しい、松の名所です。

 

 

35、人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける

ひとはいさ こころもしらず ふるさとは はなぞむかしの かににほひける

 

紀貫之

さて、そんなことを言うあなたはどうでしょうね。他人の心は分からないけれども、昔馴染みのこの里では、梅の花だけが昔のままの良い香りで咲き匂っていますよ。

 

やーさん

紀貫之が長谷寺参詣の際、定宿へ久しぶりに訪れた際に、宿の主人から「このようにお宿は昔のままでここにありますのに。(あなたは心変わりされて、ずいぶんと来てくださらなかったのですね)」と言われた際に、植えられていた梅の花を手折って詠んだ歌です。「あなたの心は、この梅の花の香りのように変わってないですか?」というような皮肉が込められた、親密な関係にある者同士でのユーモアのあるやり取りです。

 

平安時代を代表する非常に優れた歌人で、三十六歌仙の一人。六歌仙は紀貫之が挙げた六人を指す。

土佐守となり、土佐から帰京の時に記した「土佐日記」は歴史上初めての日記文学です。

 

 

36、夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ

なつのよは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ

 

清原深養父

夏の夜は、まだ宵の内だと思っているうちに明けてしまった。月も(山に隠れる暇もなくて)雲のどのあたりに宿っているのだろうか。

 

やーさん

清原深養父が月見をしていた夏の夜明けに、夏の夜が短いことへの驚きを詠んだ歌です。あまりの夜の短さに月は沈むことが出来ずに、雲の中に宿をとったのだろうと表現しているところにおもしろさがありますね。

清原深養父(きよはらのふかやぶ)は清少納言の曽祖父にあたります。

中納言兼輔(27番歌)や紀貫之(35番歌)と交流があり、歌壇で活躍しました。

 

 

37、白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける

しらつゆに かぜのふきしく あきののは つらぬきとめぬ たまぞちりける

 

文屋朝康

草の葉の上に乗っている白露に、風がしきりに吹き付ける秋の野は、まるで紐で貫き留めていない真珠が散り乱れているようだった。

 

やーさん

秋の野に降った雨粒が強い風に飛ばされる光景を、まるで紐で留めていない真珠が散って飛んでいるようだと詠った歌です。日本の秋の情緒を美しく描いた歌ですね。

 

文屋朝康は文屋康秀(22番歌)の子です。

「露」を「玉(=真珠)」と見立て、「緒(紐)で貫く」という表現は平安時代によく使われたパターンです。

 

 

38、忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな

わるらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの おしくもあるかな

 

右近

あの人に忘れ去られる私の身は何とも思わない。けれど、いつまでも愛すると神に誓ったあの人が、神罰を受けて命を落とすことになるのが惜しまれてならないのです。

 

やーさん

「君を忘れない。」そういって様々な誓いを立てたのにその女のことを忘れてしまった男に宛てた歌です。読み取り方次第で、様々な解釈が出来る歌ですね。個人的には恨みを込めた歌にとってしまいますが、、。

 

醍醐天皇の中宮隠子に仕えた女房で、右近はその女房名です。

一説によると、この歌の相手は藤原敦忠(43番歌)だったと言われています。

 

 

39、浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき

あさぢふの おののしのはら しのぶれど あまりてなどか ひとのこひしき

 

参議等

浅茅の生えた小野の篠原の「しの」ではないけれど、あなたを忍んでいると、想いが溢れてこぼれそうになる。どうしてこうもあなたが恋しいのだろうか。

 

やーさん

浅茅は丈の短い茅のことです。序詞は言葉遊びではなく、その情景を思い起こさせることによって、切ない恋心を詠んだ歌に、更に豊かなイメージをもたらしています。

 

参議等(さんぎひとし)=源等で嵯峨天皇の曾孫です。

あまりて=多すぎて溢れる状態。などか=疑問を表す副詞で「どうして~だろうか」という意味になります。

 

 

40、忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで

しのぶれど 色にいでにけり わがこいは ものやおもふと ひとのとふまで

 

平兼盛

人に秘めてきたけれど、私が恋をしていることが顔や表情に出てしまっていたようだ。「恋の想いごとでもしているのですか?」と人から尋ねられるほどに。

 

やーさん

倒置法によって人の心の動きを巧みに表現した恋の歌ですね。昔も今も恋する人は、その想いが顔にまで出てしまう。現代人でも非常に共感できる歌ではないでしょうか。

 

平兼盛は光孝天皇の玄孫で、三十六歌仙の一人です。

後撰集の頃の代表的歌人で、勅撰和歌集に90首ほどの和歌が伝えられています。

 

 

以上、31番から40番歌までのご紹介でした!

紀貫之の歌などもそうですが、詠まれた背景を知る事によってさらに理解が深まりますし、楽しさが増えますね。

次回以降もお楽しみに!!

 

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やーさん

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