優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!其の五

優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!其の五

どうもー!やーさん(@ohokamudumi)です。

現代ではTwitterの140字の中でうまいこと言った人が人気を集めるわけですが、

古来より5・7・5・7・7の31文字で人の想いや儚さ、四季の移ろいなどを見事に表現しているのが和歌です。

数々の歌が千年以上経った現在でも人々の胸を打ち続けている。これってすごいことじゃないですか!?

ということで、最も有名な和歌集である小倉百人一首に収められている歌を改めて鑑賞してみたいと思います。

今回は41-50番!!いってみましょう!

 

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優美な和歌の世界 小倉百人一首を楽しむ!

 

41、恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか 

こいすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか

 

壬生忠見

私が恋をしているという噂がもう立ってしまった。人には知られないように、密かに思い始めたばかりなのに。

 

やーさん

密かに芽生えた恋心。そんな淡い想いが簡単に他人に見抜かれ、噂まで立ってしまった驚きを素直に詠んだ歌で、何だかかわいく感じますね。

 

壬生忠見は30番歌の壬生忠岑の子です。父とともに三十六歌仙の一人です。

この歌は村上天皇の天徳4年(960年)に行われた歌合せで、40番歌と組み合わされ接戦の末「負け」となった歌で、壬生忠見はその負けが原因で拒食症になり亡くなったという話もあります。

 

 

42、契りきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは

ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

 

清原元輔

約束しましたよね。互いに涙で濡れた着物の袖を絞りながら。末の松山を波が越すなんてことがありえないように、私たちも決して心変わりはしないと。

 

やーさん

心変わりしてしまった女性へ贈った歌で、清原元輔が友人の代わりに詠んだようです。古今和歌集に「君をおきて あだし心を わがもたば すゑの松山 浪も越えなむ」(あなたをさしおいて、私が浮気心を持てば末の松山を浪が越すでしょう)という女性が男性に貞節を誓った歌の本歌取りとなっています。

 

清原元輔は36番歌の清原深養父の孫で清少納言の父にあたります。三十六歌仙の一人です。

作中の末の松山は現在の宮城県多賀城市周辺を指します。

 

 

43、逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり 

あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり

 

権中納言敦忠

あなたと逢い一夜を共にした後の恋しい気持ちに比べると、契りを結ぶ前の想いなんて無いに等しいほどのものだったなぁ。

 

やーさん

初めて女の許に通い、帰ってきた朝に相手に贈った歌とされています。恋心が実った後の方が、相手を思う心が強くなったという激しい思慕の情を詠った歌ですね。

 

権中納言敦忠(藤原敦忠)は左大臣 藤原時平の三男で、三十六歌仙の一人です。

美貌の持ち主で琵琶や管弦に優れ、恋多きロマンチストだったようです。

 

 

44、逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし

あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみざらまし

 

中納言朝忠

もし絶対に逢うことが無いのであれば、かえって相手のつれなさも自分自身の不甲斐なさも恨むことはしないだろうに。

 

やーさん

契りを交わした相手となかなか逢えずにいる嘆きを詠った歌です。いっそのこと逢えない状況になった方が心が楽になるのにという恋心がうまく表現されていますね。

 

中納言朝忠(藤原朝忠)は25番歌の三条右大臣(藤原定方)の五男で、三十六歌仙の一人です。

38番歌の右近の恋人で、漢文にも詳しく、和楽器である笙の名手でもあったと伝えられています。

 

 

45、あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな

あはれとも いふべきひとは おもほえで みのいたづらに なりぬべきかな

 

謙徳公

私のことを哀れだと言ってくれそうな人は他には誰も思い浮かばないまま、きっと私はむなしく死んでいくことだろう。

 

やーさん

こんなにもあなたを愛し想っているのに、誰も哀れに思ってくれる人は他にいない。このままむなしく死んでしまうのか。と女心をかきたてるような歌です。謙徳公は才色兼備な人だったようで、そんな男性がこの歌を詠めば周りの女性がほっておかない、そんな美男特有のパフォーマンスのようにも捉えられます。

 

謙徳公(藤原伊尹)の娘は冷泉天皇の女御で、花山天皇の母となったため、晩年は摂政・太政大臣にまで昇進しました。

自邸が一条にあったため「一条摂政」と呼ばれます。

 

 

46、由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え ゆくへも知らぬ 恋の道かな

ゆらのとを わたるふなびと かぢをたえ ゆくへもしらぬ こいのみちかな

 

曽禰好忠

由良川の河口の流れの速い瀬戸を渡る舟人が櫂をなくして行く先も分からず漂っていく。そんなふうに私の恋の行方もこの先どうなっていくのかわからないなぁ。

 

やーさん

門、渡る、舟人、かぢ、ゆくへ、道は全て縁語であり、上三句は序詞となっています。由良川の河口で櫂をなくして漂う舟を、自身の恋の不安に例えた巧みな歌ですね。

 

曽禰好忠は花山天皇時代の歌人で、歌は斬新でその才能を高く評価されましたが、性格が偏屈で奇行が多く不遇だったようです。

由良は丹後国(京都府宮津市)の由良川だと思われます。

 

 

47、八重むぐら しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり

やえむぐら しげれるやどの さびしきに ひとこそみえね あきはきにけり

 

恵慶法師

つる草が幾重にも生い茂った荒れ寂れた宿。訪れる人は誰もいないけれど、それでも秋はやってくるのだなぁ。

 

やーさん

河原院(14番歌 河原左大臣=源融の別荘)を訪れた作者がその風景を見て詠んだ歌です。すでに源融は他界しており、賀茂川の氾濫などもあり屋敷は荒れていました。秋のわびしさとともに人の世の栄枯盛衰を詠んだ歌で、しみじみとした寂しさがありますね。

 

恵慶法師(えぎょうほうし)は播磨国(兵庫県)の国分寺の講師(国の僧侶らの監督)だったと伝えらています。

平兼盛(40番歌)や清原元輔(42番歌)らの歌人と親交を結んでいたそうです。

 

 

48、風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけてものを 思ふころかな

かぜをいたみ いわうつなみの おのれのみ くだけてものを おもふころかな

 

源重之

風が激しく、岩に打ち付ける波が自分だけが砕け散るように、私だけの恋の嘆きで心が砕け散るこの頃だなぁ。

 

やーさん

全然打っても響かない女性を岩に例え、自分の心を岩に当たり砕け散る波に例えた、片思いの嘆きを詠った歌です。嵐の海の情景をイメージさせることで、印象強い歌になっています。

 

源重之は清和天皇の曾孫で三十六歌仙の一人です。

国司として筑前や肥後を回り、最後に陸奥で没しました。

 

 

49、御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ

みかきもり えしのたくひの よるはもえ ひるはきえつつ ものをこそおもへ

 

大中臣能宣朝臣

御所を護る衛士が燃やす篝火が、夜は燃えて昼は消えているように、私の心も夜は恋の炎に身を焦がし、昼は消えいるように物おもいにふけっているようだ。

 

やーさん

恋に悩む心を貴族にとって身近であった宮中の篝火に例えた歌です。電気の灯りもない時代の、夜を照らす炎の力強さと、消えて灰になった昼間の篝火の様子をコントラスト豊かに描いた歌ですね。

 

大中臣能宣朝臣(おおなかとみのよしのぶあそん)は伊勢大輔(61番歌)の祖父で、三十六歌仙の一人です。

神祇大副(じんぎのたいふ)として伊勢の神宮に奉仕していました。

 

 

50、君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな

きみがため おしからざりし いのちさへ ながくもがなと おもひけるかな

 

藤原義孝

あなたのためなら捨てても惜しいとは思わなかった命ですが、逢うことができた今はいつまでも長くこの命を保ちたいと思うようになりました。

 

やーさん

恋慕っていた女性と初めて一夜を共にした喜びを詠い贈った歌です。若さや初々しさも感じるステキな恋の歌ですね。

 

藤原義孝は45番歌の謙徳公の子です。

疱瘡にかかり、21歳の若さでこの世を去っています。人の運命の悲しさが感じられます。

 

 

以上、41番から50番歌までのご紹介でした!

今回ご紹介の10首中9首が恋の歌でした。恋の歌多い!!

百人一首全体を見ても100首中43首が恋の歌です。

なかなかに女々しい男性の恋心が垣間見れる歌が多くおもしろいですよね。

次回以降もお楽しみに!!

 

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やーさん

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