京都国立博物館 2019/10/12~11/24 「佐竹本 三十六歌仙絵」展に行ってきました!!

京都国立博物館 2019/10/12~11/24 「佐竹本 三十六歌仙絵」展に行ってきました!!

どうも、和歌の魅力をもっと知りたいしみんなに知ってほしいブロガーのやーさんです。

2019年秋、京都国立博物館で100年の時を超えて集まった「佐竹本 三十六歌仙絵」!!

平日の休暇を利用して見に行ってきました!!

 

やーさん

いやー!!もう、素晴らしい展示の数々!!そして、何ともドラマチックな「佐竹本 三十六歌仙絵」の裏にあるストーリー!!とても興奮して、結局3時間も滞在してしまいました。

 

 

今回は、「佐竹本三十六歌仙絵」についてご紹介したいと思います!!

 




 

「佐竹本 三十六歌仙絵」展ってどんな展示会?

まずは、今回の特別展覧会についてご紹介しましょう!

「三十六歌仙」って何?

自身も和歌の名手である藤原公任(ふじわらのきんとう:966年 – 1041年)という方が、飛鳥時代から平安中期までの和歌の上手な歌仙と呼ばれる人達の中から、さらに厳選して36人選んだのが三十六歌仙です。

百人一首をはじめ、様々な和歌集で出てくる有名人だらけです。

 

三十六歌仙一覧

柿本人麻呂 山部赤人 大伴家持 

猿丸大夫 僧正遍昭 在原業平 

小野小町 藤原兼輔 紀貫之 

凡河内躬恒 紀友則 壬生忠岑

伊勢 藤原興風 藤原敏行 

源公忠 源宗于 素性法師

大中臣頼基 坂上是則 源重之 

藤原朝忠 藤原敦忠 藤原元真

源信明 斎宮女御 藤原清正

藤原高光 小大君 中務

藤原仲文 清原元輔 大中臣能宣 

源順 壬生忠見 平兼盛

(赤文字は女性です。太文字にしているのが、今回の展覧会で絵が出展されている歌仙です。)

 

いかがでしょうか?

和歌なんて知らないっ!という方も、何人かは見たことがある名前がありませんか?

ってか藤原氏多いなっ!!

 

で、この36人の歌仙の絵が描かれ巻物になった物が「三十六歌仙絵巻物」と呼ばれます。

 

 

この看板に描かれているような絵と、その人物の簡単な説明(位や略歴など)、そして代表的な和歌が描かれています。

ちなみにこの看板に描かれている十二単の女性は「小大君」です。

 

 

佐竹本って何?

三十六歌仙絵自体は様々な人の手によって描かれ、多くの作品が残っていますが、その中でも草分け的存在であり、代表的な作品と云われているのが「佐竹本」と呼ばれる今回の展示のメインとなる絵巻物です。

「佐竹」とは、旧秋田藩主・佐竹侯爵家に伝わった絵巻物であることからその名が冠せられました。

 

この佐竹本、画は藤原信実作、書は後京極良経作(一部除く)と伝わっており、鎌倉時代中期の作品と考えられています。

かつて巻物としては2巻に分けられており、1巻ごとに18名ずつ、計36人の歌仙絵と和歌の神様である住吉明神の景観が描かれていました。

 

「蒹葭堂雑録」によると、佐竹家に伝わる前は下鴨神社に伝来したものであるとされています。

 

佐竹本の優れている点は、歌仙一人一人の描かれ方が素晴らしいということです。

詠まれている和歌の意味に寄り添うように、歌仙達の表情や姿勢が細かく描かれていて美しいのです。

 

例えば、「紀貫之」の歌仙絵(→こちらのリンクからご覧ください。)。

詠まれている歌は

「桜散る 木の下風は 寒からで 空にしられぬ 雪ぞ降りける」

とあり、桜を雪と見立てた春の歌です。

描かれている紀貫之の表情や目線を見てみると、どことなく左上方に目をやっていて、その先に花びらがひらひらと舞い散る桜の木があるように思わせます。

 

こういった歌仙達のその歌を詠んだ時の心情を想像して描かれている、その肖像表現が素晴らしいのです。

 

 

流転100年・・・美術史を震撼させた「絵巻切断」事件とは

 

山本唯三郎の手に渡った佐竹本

2巻の絵巻物のまま保管されていたら、間違いなく国宝となっていたであろうこの「佐竹本 三十六歌仙絵」。

近代に入り旧大名家の力が落ちてくると、家宝や家財を売って経済的に何とか凌がなければという時代がやってきます。

佐竹家も1917年(大正6年)に売立を行うことになり、この佐竹本が売りに出されました。

 

もちろん名品中の名品。

当時の価格にして35~37万円、今の貨幣価値に直すと約40億円というものすごく高額なものとなったそうです。

これを買ったのが、実業家の「山本唯三郎」。

彼は第一次世界大戦の折に、船舶輸送業で巨万の富を得ました。

社会科の教科書で「成金」のことが紹介されるときに、料亭の玄関で靴を履こうとして、暗くてよく見えないからと、札束に火を付けて明るくしたとされる絵が描かれているのを見たことがないですか?

あれを実際にやった人だそうです。えぇ、そう、やばい奴です。

その他にも、金に物を言わせてとんでもない奇行の数々をされていますので、興味のある方は調べてみてください。

 

一度は山本唯三郎の手に渡った佐竹本ですが、第一次世界大戦の終了と共に業績の悪化した山本はこれを手放す他ありませんでした。

 

益田鈍翁が中心となって「絵巻切断」が行われる!

そうして再度、売りに出された佐竹本。

しかし、景気が冷え込んでいく中、超高額の巻物のまま買える人は誰もいませんでした。

そこで出てきたのが、当時の経済界の中心人物でもあり、古美術品などの収集にも力があった「益田鈍翁(益田孝)」でした。

彼は三井財閥を支えた実業家であり、明治維新後世界初の総合商社・三井物産の設立に関わり、日本経済新聞の前身である中外物価新報を創刊した人物です。茶人としても高名で「千利休以来の大茶人」と称されたそうです。

 

「古美術愛好家は不安よな。益田、動きます。」

 

と言ったかどうかは定かではないですが、日本の重要な美術品である佐竹本が国外へ流出することも危惧される中、益田は佐竹本を一歌仙ごとに切断し、希望者に譲渡することにしました。

 

これが美術史を震撼させた「絵巻切断事件」です。

切断と言っても、ハサミでチョキチョキと切るわけではありません。

絵巻物は何枚もの紙を継いで作られているので、それらを剥がして分割することになります。

とは言え、600年以上も前に作られた歴史的にも美術的にも価値のある絵巻物を解体するのですから、とんでもないことです。

 

 

運命のくじ引き!!

1919年(大正8年)12月20日に、益田は当時の経済界をリードする大企業の経営者や、茶人たちを御殿場にある自身の邸宅「応挙館」に招き、佐竹本の分割抽選会を開催しました。

 

分割された佐竹本は、相談役として招集された美術研究家の田中親美らを中心に、歌仙毎に評価額が決められていたそうです。

 

最低価格は3000円。現在の価値に直して3000万円くらいでしょうか。

 

やはり、優雅な十二単姿で、鮮やかに描かれた女性歌仙に人気が集まりました。

中でも「斎宮女御」は最高評価額が付けられました。

その額、4万円!!現在の価値で4億円です!!すごい!!

 

(次点で「小野小町」3万円、「小大君」2万5千円だったそうです。ちなみに男性で一番高額だったのは、歌聖「柿本人麻呂」で1万5千円だったそうです。)

 

発起人である益田ももちろん、最高評価額である「斎宮女御」を手にしたいと願っています。

 

抽選方法は公平なくじ引きだったそうです。

運に全てを任せ、竹筒に入れられた棒を引いた結果・・・・。

 

益田に当たったのは、最も不人気の僧侶の絵(一説には素性法師)だったそうです。

 

一瞬にしてとんでもなく不機嫌になり、周囲に当たりまくる益田鈍翁。。。

凍り付く会場。。。

 

経済界の重鎮であり、文化人でもあり、今回の分割販売の呼び掛け人でもある益田が荒れ狂うのをどうにかしなくては!!と、斎宮女御を引き当てたある古美術商の方が交換を持ち掛けて、何とかその場を収めたそうです。

 

・・・くじ引き・・・公平性・・・えっ。。。となりますが、色々な力関係とかね、ありますもんね。。。うんうん。

 

機嫌を直した益田鈍翁は、みんなに夕食を振舞ったそうです。

めでたしめでたし!!ちゃんちゃん。

 

 




 

 

流転100年!時代を超えて一堂に会した「佐竹本 三十六歌仙絵」展!!

こうして斎宮女御は益田鈍翁の手に渡り、その他の歌仙絵もそれぞれくじ引きで引き当てた人物の手に渡っていきました。

 

1919年に分割された「佐竹本 三十六歌仙絵」。

家宝として一所に留まり大切にされる絵もあれば、時代の流れと共に幾人もの所有者の手を渡っていく絵もありました。

 

絵巻切断からちょうど100年目を数える今日、過去最大の31件が京都国立博物館に会しました。

昭和・平成の時代を超えて、新しい令和の時代に集う佐竹本に描かれた三十六歌仙絵。

これほどまでに多くの絵が揃う機会は、今後滅多にないのではないでしょうか。

 

興味がある方はぜひ、この機会に京都国立博物館へ行って見てください!!

一生の思い出に残る、素晴らしい作品たちと出会えますよ!!

 

展示会情報

(以下、京都国立博物館HPより引用)

展覧会名 特別展 流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美
会期 2019年10月12日(土)~ 11月24日(日)
※会期中、一部の作品は展示替を行います。
前期:2019年10月12日(土)~ 11月4日(月・休)
後期:2019年11月6日(水)~ 11月24日(日)
会場 京都国立博物館 平成知新館
交通 JR、近鉄、京阪電車、阪急電車、市バス 交通アクセス
休館日 月曜日
※ただし、11月18日(月)は特別に開館いたします。臨時開館のお知らせ
※10月14日(月・祝)と11月4日(月・休)は開館し、翌火曜日(10月15日、11月5日)を休館とします。
開館時間 火~木・日曜日:午前9時30分~午後6時(入館は午後5時30分まで)
金・土曜日:午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで)
観覧料 一 般 1,600円(1,400円)
大学生 1,200円(1,000円)
高校生  700円 (500円)※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下は無料です。
※障害者手帳等(*)をご提示の方とその介護者1名は、観覧料が無料になります。
 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳※大学生・高校生の方は学生証をご提示ください。キャンパスメンバーズ(含教職員)は、学生証または教職員証をご提示いただくと、各種当日料金より500円引きとなります。

 

 

 

やーさん

最後までお読みいただきありがとうございました!

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