【3000文字チャレンジ】心に響く和歌 百人一首7選

【3000文字チャレンジ】心に響く和歌  百人一首7選

3000文字チャレンジ!! お題「7」

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王朝文化時代の貴族たちが詠んだ、すばらしい歌を集めた「百人一首」という有名な歌集があります。

誰しもがその歌集の中に出てくる歌の一つくらいは、聞いたことがあるのではないでしょうか。

この百人一首には、貴族の栄華の時代と文化が集約されています。

 

今回の3000文字チャレンジでは、百人一首の中でぼくが好きな歌7選をお届けしたいと思います!

 

 

まずは少しだけ、百人一首についておさらいです。

一般的に「百人一首」と呼ばれ、歌がるたとしても広く認知されているのは、藤原定家が京都の小倉山にある山荘で選んだとされる「小倉百人一首」です。

飛鳥時代の天智天皇から鎌倉時代の順徳院まで、100人の歌人の優れた和歌が一首ずつ収められています。

 

選ばれた100人は男性が79人、女性が21人となっています。

歌のテーマ別でみると、

春6首、夏4首、秋16首、冬6首、離別1首、羇旅4首、雑19首、雑秋1首、そして恋が43首

となっています。

恋に関する歌が43首と、とても多いことがよく分かりますね!

 

撰者である藤原定家は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家の方です。

「小倉百人一首」以外にも「新古今和歌集」「新勅撰和歌集」などさまざまな歌集や作品を残されていて、”歌聖”とも称される、日本を代表する歌人の一人です。

百人一首の成立した正確な年月日は明らかにされていませんが、定家の日記「明月記」の記述から1235年6月のことだったのでは、という説もあるようです。

 

800年近くもの年月が過ぎても、こうして素晴らしい歌集として語り継がれるんですからすごいものですよね。

 

さぁ、ではここからは自由に歌を鑑賞していきましょう!!

歌の現代語訳だけでなく、背景などを知ることによってさらに楽しくなるのが和歌の世界です!!

独断と偏見で選ぶ百人一首7選!!いきますよ!!

 

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まずはこの歌!!

 

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の
衣ほすてふ 天の香具山

 

持統天皇が詠まれた歌で2番歌ですね。

 

現代語訳すると、

春が過ぎて、夏が来たようです。夏になると真っ白な衣を干すという天の香具山に、あのように衣がひるがえっているのですから。

といった感じでしょうか。

空の青、山の緑、衣の白というくっきりとした色のコントラストが脳裏に浮かんでくるような景色を詠んだ歌です。

 

この記事を書いているのが2019/4/23ですが、昨日4/22は各地で夏日が観測されていました。まさに、春過ぎて夏が来たという季節ですね。

この歌を思い返す度に、里山を一望できる祖母の家の窓から見た、夏の景色を思い出します。

もちろんその山には真っ白な衣なんて干してなかったですが、その代わりにグラスの中の氷がカランと鳴るキンキンに冷えた白いカルピスウォーターがありました。笑

その時の記憶がよみがえり、爽やかな風が心に吹き渡る、とても好きな歌です。

 

 

 

 

 

 

2つ目はこの歌!!

天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ
をとめの姿 しばしとどめむ

 

六歌仙の一人、僧正遍照が詠んだ12番歌です。

 

この歌が詠まれた背景ですが、陰暦11月頃に行われる新嘗祭の翌日の豊明節会(とよのあかりのせちえ)という宴の後に、未婚の美しい5人の女性が踊る「五節の舞」を見て詠まれました。

 

現代語訳すると、

空吹く風よ、雲の中の天に通じる道を吹き閉じておくれ。天に帰ってしまう乙女たちの美しい姿を、もうしばらくここに留めておきたいから。

といったところでしょうか。

 

舞姫たちの美しさを、天女に例えて詠んだ幻想的な歌ですね。

厨二病的発想かもしれませんが、まず「天つ風」という言葉がめちゃくちゃかっこいい!!笑

そして5人の天女ですよ。

目を閉じて、自分の好きな未婚女性5人が美しい衣装で踊る姿を想像(妄想)してください。

「あぁっ!!天に帰らないでーー!!」

って思っちゃうでしょ?

そんな歌だと勝手に解釈しています。

あなたなら5人の女性、誰を想像しますか?笑

 

 

 

次!3つ目はこの歌!

君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪はふりつつ

 

光孝天皇が詠まれた15番歌です。

 

今年は4月に入ってから東北で雪が降り、その様子をニュースなどで見ながら、季節外れではありますがこの歌を思い起こしていました。

 

現代語訳すると、

あなたに贈ろうと思い、春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖に、雪がしきりに降りかかってきます。

といったところでしょうか。

 

この歌も前出の「春過ぎて~」の歌と同様に、脳裏に色や景色が広がりますよね。

 

昔は新春に若菜を食べることで邪気を払い、長寿や健康を祝う習慣があったので、親しい人々の間で和歌を添えて若菜を贈りあったようです。

まだ寒く雪のちらつく野原で、大切な人を思い若菜を摘む。その若菜には色んな愛情が込められることでしょう。

人の思いやりが感じられ、若菜の緑と雪の白という美しいコントラストで描かれた情景も感じられる、非常に素晴らしい歌ですね。

 

 

 

まだまだいきましょう!4つ目の歌はこちら!

大江山 いく野の道の 遠ければ
まだふみも見ず 天の橋立

 

小式部内侍が詠んだ60番歌です。

恋に生きた女性歌人、和泉式部の娘である小式部内侍は、母親譲りの才能の持ち主で、幼い頃より歌を作るのがとても上手だったようです。

あまりにも上手なので、これは母親である和泉式部が代作しているのでは、、と噂が立つほどだったと言われています。

 

で、この歌が詠まれた背景ですが、

小式部内侍が都で行われる歌合せに招かれ、そこで藤原定頼に

「詠む歌はどうするの?母親(=和泉式部)に使いは出されましたか?使いはまだ戻らないのですか?」

とからかわれた際に即興で詠んだ歌がこの歌です。

 

現代語訳すると、

(母のいる丹後の国へは)大江山を越えて、生野を通って行く道は遠過ぎて、まだ天橋立の地を踏んだこともありません。そこに住む母からの手紙も見てはいません。

となります。

 

「行く野の道」と「生野の道」、「文」と「踏み」が掛けられていてとても技巧的です。

丹後の国にいる母に代作などさせていないと、技巧を凝らした華麗な歌を返すことで証明してみせた素晴らしい歌ですね。

こういった発想力と、鋭い返しができる才能欲しいですよね。

 

個人的に母の田舎が丹後で、天橋立が近いということも、この歌を好きな理由の一つです。

 

 

 

 

さぁ、次は5つ目ですよ!

瀬を早み 岩にせかるる 瀧川の
われても末に 逢はむとぞ思ふ

 

崇徳院が詠まれた77番歌です。

崇徳院は第75代の天皇ですが保元の乱によって讃岐に流されその地で崩御されました。

そんな崇徳院が詠んだこの歌は、激流をイメージさせる恋の歌です。

 

現代語訳すると、

川の瀬の流れが速いために岩にせき止められた急流が、二つに分かれてもまた一つになる。愛しいあの人と今は別れても、いつかはきっと逢おうと思っている。

といったところでしょうか。

 

どんな障害があっても、いつかは必ず結ばれる。そんな強い意志を感じさせる恋歌です。

川の激しい流れを描くことによって、なみなみならぬ情熱と、強い決意を感じさせる歌になっていますね。

立場的にも様々な困難や障害があったであろう天皇が、とても激しい恋情をダイナミックに歌い上げているというところが好きなポイントです。

 

単純に、こんだけ人を想えるっていうことが素晴らしいとも感じますね。

 

 

 

さて残すはあと2首。6つ目はこれ!!

秋風の たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ

 

左京大夫顕輔(藤原顕輔)の詠んだ79番歌です。

説明の必要もないくらい、美しい秋の月夜を歌い上げた素晴らしい一首ですね。

 

秋風にたなびいている雲の切れ間から、洩れてくる月の光はなんと清らかで澄みきっていて美しいことだろうか。

 

結句の「さやけさ」は形容詞である「さやけし」を名詞化したもので、澄み渡ってはっきりしているという意味となります。この結句がとても効いた一句となっています。

とてもシンプルですが、日本人なら誰もが持ち合わせているのではないかと思われる秋の月夜に対する美意識を、過不足なく表現していますよね。風と雲、月の清らかな美しさを詠った非常に格調高い歌です。

ぼくはこの歌を見ると、秋の虫の声まで聞こえてくる気がします。

 

5・7・5・7・7のたった31文字が、ここまで豊かに世界を脳裏に描き出させてくれるとは、ほんと驚きです。

 

 

 

さぁ、最後はこちら!!7つ目!!

長からむ 心も知らず 黒髪の
乱れて今朝は 物をこそ思へ

 

待賢門院堀河が詠んだ80番歌です。

もうこれはエロい!!すごくエロスの匂いがする!!

ムンムンと香り立つ切ない色気!!

え、分からないって?・・・そうですか。

 

まずは現代語訳から見ていきましょう。

(昨夜契りを交わした)あなたは末永く心変わりしないと仰いましたが、それが本心かどうかはかりかねて、黒髪が乱れるように私の心も乱れて、今朝は物思いに沈んでおります。

となります。

 

この歌は、男が届けてきた「後朝(きぬぎぬ)」の歌に対する返歌という趣向で詠まれたとあります。

「後朝」というのは男と女が一晩を明かした翌朝のことで、男が帰った後で女の許へ「昨夜は幸せだったよ」と一首詠んで贈る、という慣習があったようです。雅びですよねぇ。

男が贈ってきた歌に対して堀河が返したのがこの一首ということになります。

 

「長からむ心」で「永久に変わらない愛」と訳すことができ、また「長からむ」は黒髪の縁語となります。

平安時代の恋愛って、基本的に一夫多妻制で通い婚なんですよね。

女は常に男の来訪を待つばかり。

あなたを想う気持ちが永く変わることはないと言ってくれたけれど、それは本心なのかしら。。

今日は好きだと言ってくれた彼が、明日から来てくれなくなったらどうしよう。。

そんな切ない女心を詠んだ歌ですが、乱れた黒髪が情事のあとの妖艶な雰囲気を漂わせていますよね。

 

女の乱れた黒髪が、白く細い背中を覆っている。

女の目は憂いを帯びているが、その姿はとてつもなく美しい。

 

そんな情景が目に浮かびます。

ほら、やっぱり艶感半端ない!!!大好き!!!笑

 

 

はい!ということで以上、ぼくが独断と偏見で選ぶ百人一首7選でした!!

あなたの好きな歌はありましたか?

また、この記事を読んで「あ、この歌良いな!」とか「こんな意味があったんだ!」とか思っていただけたら幸いです。

 

和歌なんて古くさいもの知らなくったって人生において困ることは何一つないと思いますが、一つ自分のお気に入りの歌を胸に持ってるだけで人生はとても豊かになる、ぼくはそんな気がします。

 

ではでは。

 

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あとがき

 

どうも、やーさん(@ohokamudumi)です。

Twitterの中でこぼりたつやさん(@tatsuya_kobori )が企画されている3000文字チャレンジに挑戦!!

ということで今回のテーマは「7」でした。

 

このブログでも百人一首をまとめた記事がありますが、その100首の中からお気に入りを厳選して7つご紹介しました。

 

 

和歌、とても良いですよねぇ。

子どもの頃は全くその良さが分からなかったので、もったいないことをしていたなぁとも思うんですよね。

 

これまで和歌に興味がなかった方も、この記事を読んでほんの少しでも「和歌っておもしろいかも」と思ってもらえたらとても嬉しいです。

 

 

この記事を偶然見てくださったあなた!!

すぐにTwitterで「#3000文字7」「#3000文字チャレンジ」などで検索して読んでみてくださいね!!

きっとたくさんのおもしろい話に出会うことができますよ!!

 

 

ほな、またね!!

 

 

 

やーさん

最後までお読みいただきありがとうございました!
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