【3000文字チャレンジ】君の空虚の輪郭を包み込むためにこそある、ぼくの空白。

【3000文字チャレンジ】君の空虚の輪郭を包み込むためにこそある、ぼくの空白。
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3000文字チャレンジ!!お題:「野菜」「ハンバーグ」「好きな場所」

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1【緑色の彼の苦しみ】

ぼくは物思いにふけっていた。

いや、いまさらの話ではある。

ずっとずっと長い間、ぼくは自身ではどうしようもできない不遇にさらされてきた。

 

「なんで、こんな他人の評価に一喜一憂しなくちゃいけないんだ。ぼくはぼくなのに。」

 

今日も一人ごちた。

毎年発表される、あるランキングの結果を見て落ち込んでいたんだ。

 

「好きなものランキングは良いよね。ポジティブな感情が溢れてる。まぁきっと順位の変動に一喜一憂するというのはあいつらにもあるのかもしれないけど、、それでも嫌いなものランキング上位常連のぼくの気持ちなんて、絶対分からないだろうさ。」

 

今日もお皿の横の方に残された。

あの子はぼくを食べてくれない。

 

細かく刻まれて、姿形も見えなくなって、ぼくの存在なんてほとんど感じなくなった時だけ、ぼくはあの子の中に入っていける。

 

そんなの”存在意義の否定”とほぼほぼイコールじゃないか。

 

ぼくは、ぼくの持ち味を活かして、それを認められて、美味しいといってあの子に食べてほしいのに。

それは叶わない願いなの?

 

今日もぼくはゴミ箱行きだ。

あの子の中で、分解されて、身体を作る栄養になりたいのに。

何の役にも立たないゴミとして処理されてしまう。

・・・ゴミ箱の中に入って、腐っていくのはいやだ。

 

もう何十回と同じ目にあってきた。

こんな思いをするなら、ぼくを選ばないでほしいと何度も思った。

 

望まないステージに上げられ、選ばれず、捨てられる。

こんなひどい扱いもないだろう。

持ち上げて落とすだなんてあんまりだ。

 

色合いのことだけを考えてぼくを使うなら、別の緑色したヤツを使えば良い。

こんな苦味をもった、不人気のぼくを使わずとも良いじゃないか。

 

あぁ、こんなネガティブな感情だと、またどんどん苦くなっちゃうのかも。

「くるしい」と「にがい」に同じ漢字が使われるなんて、何たる皮肉だろうか。

ぼくの持ち味は「苦味」だ。

苦しい味だなんて、、、だれも好んで食べてはくれない。そうだろ?

 

”心にぽっかりと空いた穴”。

なんて言うと、なんだかセンチメンタルに聞こえるけどさ、もともとぼくは穴がぽっかり空いてるどころか、中身が何も詰まっていないスカスカ野郎なんだ。

白い細かいツブツブした種が集まって、ぎゅっとくっついて入ってるだけ。

そんな薄っぺらいヤツ。

願わくば、、、だれか、この心を埋めてくれないだろうか。

 

あぁ、また夏が来る。

ぼくが大量生産される夏。

あの子が一つ年をとって大きくなる夏。

 

もう捨てられたくないな。。。

 

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2【彼女の秘められた思い】

今日も私を目の前にした人間が、よだれを垂らしていやらしい目で凝視してくる。

もう我慢できない!!みたいな目をしてね。

あなたが私を求めているのは分かってる。

 

「そんなにがっつかないで。ゆっくり味わって食べてくれたらいいの。」

 

私はどこにも逃げないんだから。

 

今日は何をかける?

長時間煮込まれた、濃厚な旨味のデミグラスソース?

太陽の光をたっぷり浴びたトマトでつくられたケチャップ?

それとも、さっぱりと大根おろしで作った和風おろし?

 

何でもいいわよ。

どんなソースだって受け止めてみせる。

私の中にかろうじて留まっている、甘い甘い肉汁はどんなソースとも絡んで、その混然一体となった味わいは得も言われぬ深いものとなるの。

今日も一つになって、あの子のお口を楽しませてあげましょう。

 

さぁ、私にナイフを立てて。

そっと切れ目を入れて、流れ出る肉汁にエクスタシーを感じて!!

しっかりと咀嚼して、肉のうま味を感じて!!

あぁぁ、私は今日もあなたの体を作る栄養になれる。

残さず食べて、、、ね。

 

 

私はいつだって人気者。

昭和だろうが平成だろうが、時代の流行り廃りに流されず、常にTOP5に入ってきた。

どんな子からも大好きって言われて、奪い合われるようにして愛されてきた。

それは私の誇りでもあるの。

 

時にあらびきで、時に煮込みで。

とろっとろのチーズを入れられたり、変わった例ではパイナップルを乗せられたり。

バンズに野菜と一緒に挟まれて、ファストフードの代表格としても愛されてきた。

 

どんな状況だって、主役を張れる圧倒的な存在感。

どんな相手だって組み伏せて、マウントをとれる絶対的なポテンシャル。

どんな対象であっても、笑顔にさせることができる超絶的なサティスファクション。

 

だけど・・・。

 

そんな何も不満なんてなさそうな私という存在だけど、いつもどこかに心の渇きのような物を感じているの。

私は人の手で形成される時、ペタンペタンと両の手の間で強く打ちつけられ、1mmの空気も入り込まないように作られる。

心に穴なんて開く隙間もないほどに、ぎゅうぎゅうに詰まった豊満バディそのものといった私。

だけど感じずにはいられない、この心に巣食う虚無感。

 

自分でもその闇の感情がどこから来ているのか分からない。

だからこそ苦しい。苦い感情。

 

あぁぁ、、願わくば誰か、、この空虚の輪郭を撫でて、そして包んでくれないかな。

・・・私は誰かに抱きしめてほしいのかもしれない。

ソースのようにタラタラと流れて行ってしまう存在ではなく、バンズのように荒々しくなく、もっと優しく私のことを包んでくれる、そんな存在を探しているのかもしれない。

 

夏の夜は儚く短い。。

あっという間に朝は来て、、日は巡る。

あぁ、もうすぐあの子は5歳になるのね。

 

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3【邂逅、そして二人は一つになる・・・】

 

「ともくん、昨日は5歳の誕生日だったね!!」

「うん!!ぼくもう5歳になったー!!」

 

楽しそうな親子の会話が聞こえてくる。

 

「ともくん、もう5歳になったから、お野菜も食べられる強くてかっこいいお兄ちゃんになったよー。」

お母さんが何やらむちゃくちゃな論理を展開している。

 

「うん!ぼく5歳になったから何でも食べられるー!!お野菜も食べて、お父さんより強くなるー!!」

ともくんと呼ばれた小さな男の子も、謎理論に同調している。

 

「今晩も昨日に続いて、ご馳走にするからねー!!」

「わーーーい!!」

 

と親子の会話は結ばれて、お母さんは台所に立って料理を始める。

「よし、今日こそはピーマンを食べさせよっ。肉詰めにしたら美味しいって言ってくれるかな。ふふん♪」

 

鼻歌混じりにそんなことをつぶやく。

 

 

 

一方、こちらは食材世界。

半分に切られて、中の種をキレイに取られたピーマンがまな板の上に整列している。

 

「えっ?ええぇぇぇぇっ!!!ぼくの中に肉を詰めるの!?しかも団子状に捏ねられたあの肉って・・・アイドル級人気のハンバーグちゃんじゃないか!!?やばいやばい!!ぼくみたいな嫌われ者と一緒になって良いような子じゃないよ!!!」

 

ペタンペタン!!とお母さんの手の中でスロー&キャッチを繰り返されたミンチ肉。

いつもより小さく形成された、ハンバーグのタネが意識を覚醒させた。

 

「う、、、ん。。ん。。あれ・・今日は私、やけに小ぶりじゃない?・・それに下にキレイに整列しているあのピーマン達は何??あんな大胆な1/2カットのピーマンなんて子どもは誰も食べないわよ?・・何?今日はいつもと違う感じがするわ。何が起こるの・・?」

 

お母さんの左手がハーフカットのピーマンを掴み、持ち上げ、右手に持っているハンバーグのタネとの距離がどんどん近づく。

 

 

「えっ!ええっ!!私、ピーマンと合体しちゃうの!?やだっ!!うそっ!?待って待って!!聞いてない!!」

 

焦るハンバーグ。

 

 

「わゎわあわぁっゎぁゎゎ!!!ご、ごめん!!ごめんなさいっ!!」

 

なぜか謝るピーマン。

 

 

 

ーーーーそして、邂逅の時。合体。ーーーーー

 

「・・・・。」

「・・・・。」

 

「あぁ、なんだろう。この感覚。初めての気持ちだな。ぽっかりと空いた穴に気が満ちているみたい。」

ピーマンはゆったりと落ち着いた声でそういった。

 

「えぇ、私もこんなの初めて。。あんなにも空虚に思えていた寒々しい感覚。拭うことはできないと思っていたあの闇を優しく包んでくれる存在を、私は今確かに感じているわ。」

ピーマンの声にハンバーグが答えた。

 

 

二人がまさかの出逢いと相性に驚いている間に、フライパンには油が塗られ、火がつけられていた。

ハンバーグの面が下になるようにして、二人は熱されたフライパンに置かれた。

 

ジュウジュウゥと小気味よい音が響く。

肉が焼ける芳しい香りと、溶け出した脂が広がる。

程よく焼けたところで、ひっくり返される。

 

肉から出た脂がピーマンに絡まる。

二人は聞こえない声で甘い言葉を交わしている。

 

「あぁ、こんな出逢いがあるだなんて思いもしなかった。」

「私もよ。誰も知らない私の虚無感をあなたが包んでくれたの。」

「ぼくの苦くて苦しいだけだった心も、君で満たされたよ。」

「こんなところにあっただなんて。。今日からあなたの腕の中が、私の好きな場所。」

 

そっと、フライパンにガラス製のフタがかけられて、立ち昇る蒸気で中は見えなくなってしまった。

 

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4【大好き!ピーマンの肉詰め】

「あなたー!ともくーん!出来たよー!ごはんにしよ!!」

『はーい!!』

 

「おっ!!今日はピーマンの肉詰めか!!お父さん大好きなんだよなぁ。」

「ええぇぇ、ピーマン・・・・。。」

「ともくん、5歳だから食べれるよ!!それにこれ見て!ハンバーグ入ってるから美味しそうでしょ!?」

「そうだぞ、とも!ピーマン食べたら強くなって、お父さんにもお相撲で勝てるかもしれないよ!!」

「えーーー!!食べるーーー!!」

 

 

両親からの視線を一身に受けながら、ともくんはピーマンの肉詰めを口に運び、おそるおそる1/4程度をかじる。

モグモグと咀嚼し、飲みこむ。

 

飲みこんだ後の、ともくんの顔に浮かんでいる表情は笑顔だった。

 

「美味しいー!!ピーマン食べられるーー!!」

「おぉぉ!さすが5歳は違うねー!!かっこいいね!!」

「すごいぞ!とも!!これでまた強くなるなぁー!!はっはっはっ!!」

食卓がぱあぁーっと明るい声で包まれる。

 

 

「良かったね、ピーマンくん。」

「うん、ハンバーグさんのおかげだね。これでぼくもこの子の栄養になれるよ。」

 

 

数十分後、ともくんのお皿の上には何も残されず、ピカピカになっていた。

 

「ごちそうさまでしたぁ。お母さん、ぼくこれからピーマンもたくさん食べられるよー!」

「ほんと?お母さん嬉しい!!」

 

 

こうして、この家庭ではピーマンが残されてゴミ箱に行くことは無くなりましたとさ。

 

 

めでたしめでたし。

 

 

おしまい。

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あとがき

どうも、やーさん(@ohokamudumi)です。

Twitter上で企画されている3000文字チャレンジへの挑戦です!!

 

今回は何と!!初挑戦!!お題3枚抜きです笑

第一回目の「ハンバーグ」、そして「野菜」、「好きな場所」の3つ!!

「ハンバーグ」は3000文字チャレンジの原点。

いつか出したいとずっと思っていて、それでもなかなか書けず悩んでいた時に、「野菜」「好きな場所」が連続でお題として発表され、今回のような物語が降ってきました。

タイトルもガッチガチの中二病感溢れる物にしました笑

 

 

食材にとって「好きな場所」はきっとゴミ箱の中なんかじゃないですよね。

これでピーマンくんは悲しい思いをしなくて良くなりました。

ハンバーグちゃんも自分の好きな場所を見つけられて良かったです(笑)

 

ピーマンの肉詰めを食べてピーマンを食べられるようになった子どもの話は、ほぼほぼわが家の実話です。

「お父さんに相撲で勝ちたかったら、このピーマンの肉詰めを食べたら良いよ。」

の言葉でバクバク食べたわが息子よ、そんなに父に勝ちたいのか笑

 

さて3000文字チャレンジセカンドステージ!!

今回は参加者のみなさん、どんな「野菜」「好きな場所」を書かれるのでしょうか。

 

 

この記事を偶然見てくださったあなた!!

すぐにTwitterで「#3000文字野菜」「#3000文字好きな場所」「#3000文字チャレンジ」などで検索して読んでみてくださいね!!

きっとたくさんのおもしろい話に出会うことができますよ!!

 

書くのも読むのも楽しい3000文字チャレンジ!あなたも参加してみませんか?

 

 




 

やーさん

最後までお読みいただきありがとうございました!

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